畳のある和室は日本の住宅やマンションに欠かせない空間ですが、張替えや維持費が気になる方も多いのではないでしょうか。畳は使い続ければ経年劣化し、いずれ交換や修繕が必要になります。また、事業用や賃貸物件では「減価償却」という会計処理も関わってきます。
この記事では、畳の耐用年数や減価償却の基本から、実際の計上方法、節税やコスト削減に役立つ知識まで、やさしく解説しています。畳の管理に疑問や悩みがある方は、ぜひ参考にしてください。
畳の耐用年数と減価償却の基本を知ろう

畳は年月とともに消耗し、適切なタイミングでの交換やメンテナンスが必要です。また、事業や不動産経営においては減価償却という会計処理も大切なポイントです。まずはその基本を押さえておきましょう。
畳の耐用年数はどれくらいか
畳の耐用年数は、一般的な住宅用と事業用で多少異なります。住宅用の畳の場合、日常的な使用でおおよそ5〜10年が目安とされています。畳表(たたみのおもて)は約5年ほどで色あせや痛みが目立ち始め、芯材である畳床がしっかりしていれば、表替えという方法でリフレッシュが可能です。
一方、事業用や賃貸物件では、人の出入りが多く劣化が早まることが多いため、3〜7年程度での交換を検討するケースもあります。畳の耐用年数は、使用状況や環境、畳のグレードによって違いが生まれるため、状況に応じた判断が大切です。
減価償却の基礎知識と畳への適用例
減価償却とは、購入や設置時にかかった費用を、資産ごとの耐用年数に分けて毎年少しずつ経費として計上する会計上のルールです。畳も一定の耐用年数を持つ資産とみなされ、特に賃貸マンションや事業用建物では減価償却の対象になります。
たとえば、新たに畳を張り替えた場合、その費用を全額一度に経費計上するのではなく、耐用年数に応じて毎年分割して計上します。これにより、税負担が均等化され、資産管理もしやすくなります。一般的に畳の耐用年数は6年程度で設定される場合が多いですが、実際には使用状況や税法上の区分によって異なるため、事前に確認すると安心です。
畳の種類ごとに異なる耐用年数の違い
畳には主に「い草畳」「和紙畳」「樹脂畳」など、素材によっていくつかの種類があります。い草畳は伝統的なタイプで、自然素材ならではの風合いがありますが、湿気や摩擦に弱く、耐用年数は約5〜8年とされています。
一方、和紙畳や樹脂畳は耐水性や耐久性に優れており、10年以上使えることも珍しくありません。特に樹脂畳は、飲み物をこぼしても染みにくく、メンテナンスもしやすいです。ただし、質感や費用面でそれぞれ特徴があるため、用途や予算に合わせて選ぶと良いでしょう。
下記の表に主な畳の種類と耐用年数をまとめました。
畳の種類 | 主な特徴 | 一般的な耐用年数 |
---|---|---|
い草畳 | 自然素材・調湿力 | 5〜8年 |
和紙畳 | 耐久性・色あせに強い | 8〜12年 |
樹脂畳 | 耐水性・カビに強い | 10年以上 |
畳の張替え時期と耐用年数の関係
畳の張替え時期は、畳表が傷んだり色あせたり、へたりを感じたときが目安です。住宅用では5年程度、事業用や賃貸ではもう少し短い周期で張替えが必要になることもあります。張替えには「表替え」と「新調」があり、表替えは畳床をそのまま使い畳表だけを交換、新調は畳全体を新しくします。
適切なタイミングでの張替えは、部屋の美観や快適さを保つだけでなく、カビ・ダニの発生リスクを抑える効果もあります。また、耐用年数が経過した畳を放置すると、劣化が進んで床の沈みや異臭などの問題が発生しやすくなります。
\買う前にチェックしないと損!/
インテリア・寝具・収納の今だけ数量限定クーポンで快適な生活に!
畳の減価償却を正しく計上する方法

畳の張替えや新品交換にかかった費用は、正しい手順で減価償却費として計上することが大切です。ここでは計算方法や勘定科目、資産台帳の記載について具体的に解説します。
畳の減価償却費の計算手順
畳の減価償却費は、まず「取得価額」(張替えや新調にかかった費用)を明確にし、耐用年数で割って毎年の経費額を算出します。たとえば、耐用年数6年の畳を60,000円で新調した場合、毎年10,000円を減価償却費として計上できます。
減価償却の計算方法には「定額法」と「定率法」がありますが、個人事業主や小規模法人では定額法が一般的です。計算例を箇条書きでまとめます。
- 畳新調費用:60,000円
- 耐用年数:6年
- 毎年の減価償却費:60,000円 ÷ 6年 = 10,000円
このように明確な計算手順を踏むことで、会計処理に迷うことが少なくなります。
事業用と居住用で異なる計上方法
畳の減価償却は、事業用物件と居住用住宅で扱いが異なります。事業用の場合、畳の新調費用は原則として「資本的支出」となり、耐用年数に応じて減価償却します。これにより、毎年一定額を経費として計上できます。
一方、居住用の場合は、畳の交換費用を減価償却することは原則ありません。自宅で使う場合は、生活用品の範囲とみなされ、購入や張替え費用を一度に経費計上することはできません。賃貸経営など事業として使用している場合のみ、減価償却の対象となる点に注意が必要です。
畳張替え費用の勘定科目の選び方
畳の張替えや新調にかかった費用を会計帳簿に記載する際、どの勘定科目を使うべきか悩む方も多いと思います。一般的に、耐用年数が1年以上で一定金額以上の支出の場合「工具器具備品」や「建物付属設備」などの資産科目で計上し、減価償却します。
小規模な修繕や部分的な表替えなど、資産価値が大きく向上しない場合は「修繕費」として一時の経費計上も可能です。判断に迷ったときは、費用の額や工事内容、税理士や会計士のアドバイスを参考にしましょう。
減価償却資産台帳の記載ポイント
減価償却の対象となる畳は、資産台帳への記載も必要です。資産台帳には、以下のような情報を記録します。
- 取得年月日
- 資産の名称(例:畳一式)
- 取得価額
- 耐用年数
- 年度ごとの減価償却費と残存価額
資産台帳をきちんと管理しておくと、確定申告や決算時にスムーズな会計処理ができ、資産の管理や更新のタイミングも分かりやすくなります。
新築か中古+リノベかで迷っていたらぜひ読んでみよう!
何から始めたらいいかが分かる一冊です。

賃貸マンションと畳の減価償却に関する実践ポイント

賃貸マンションでは、入居者の入れ替わりや原状回復義務など、畳の耐用年数や減価償却に関する実務が特に重要です。具体的な対応ポイントを押さえておきましょう。
原状回復義務と畳の耐用年数の考え方
賃貸契約では、退去時に入居者が原状回復を負担するケースがあります。畳の場合、通常の使用による色あせや軽微な劣化は「経年劣化」とみなされ、貸主が負担するのが一般的です。ただし、明らかな損傷や著しい汚れは借主が負担する場合があります。
このとき、畳の耐用年数も判断基準となります。たとえば、耐用年数を超えている畳は経年劣化扱いで原則貸主負担となりますが、まだ新しい畳で大きな損傷があれば借主負担になることもあります。
借主と貸主の負担範囲と減価償却の扱い
畳の修繕や交換を行う際、どこまでが借主負担か、また減価償却の対象となるかは契約内容や国土交通省のガイドラインを確認することが大切です。一般的に、下記のように区分されます。
状況 | 負担者 | 減価償却の扱い |
---|---|---|
通常使用の経年劣化 | 貸主 | 減価償却資産に計上 |
故意・過失による損傷 | 借主 | 実費(減価償却考慮) |
実際の負担割合や減価償却の扱いは、契約書や管理会社の方針により異なる場合もあるため、トラブル防止のため事前の確認が重要です。
経年劣化と減価償却の違いを理解する
経年劣化は、畳をはじめとした設備が時間の経過により自然と劣化する現象を指します。一方、減価償却はその劣化分を会計上で分割計上する仕組みです。
経年劣化による費用は、原状回復義務の範囲で貸主が負担することが多く、減価償却は貸主が長期的に経費計上するための方法となります。これらをしっかり区別しておくことで、入居者とのトラブルを防ぐだけでなく、資産管理や節税にも役立ちます。
特約がある場合の畳の減価償却対応
賃貸契約において「特約」が設けられている場合、畳の減価償却処理や費用負担のルールが通常と異なることがあります。たとえば、「入居者が退去時に畳の表替え費用を負担する」といった特約があれば、減価償却の残存価額や負担割合の算定方法も詳細に取り決められていることがあります。
特約の有無や内容は、賃貸契約書をよく確認し、疑問があれば事前に管理会社や専門家へ相談することが大切です。トラブル防止や会計処理の正確性を確保するためにも、契約ごとに内容をしっかり把握しましょう。
投資家100人の話で学べる!
不動産投資の初心者にもおすすめの一冊。

節税やコスト削減に役立つ畳の減価償却活用法

畳の減価償却は、単なる会計処理にとどまらず、適切に活用することで節税やコスト削減にもつながります。ここでは、実践的なポイントを解説します。
減価償却で節税効果を高めるコツ
畳の減価償却を活用することで、毎年の課税所得を減らし、結果的に節税効果が得られます。たとえば、大きな修繕費用や新調費用を一度に計上するのではなく、減価償却で数年間に分散させることで、年間の税負担を平準化できます。
また、耐用年数や取得価額がある一定以下の場合は、「少額減価償却資産」として一括で経費処理することも可能です。これにより、規模や状況によって柔軟な節税対策が行えます。
畳以外の床材との減価償却比較
畳以外にも、フローリングやクッションフロアなど、さまざまな床材があります。これらは素材や耐久性により耐用年数が異なり、減価償却の計算にも影響します。
床材の種類 | 一般的な耐用年数 | 減価償却の特徴 |
---|---|---|
畳 | 6年前後 | 修繕・交換時に計上 |
フローリング | 10〜15年 | 長期間で分割計上 |
クッションフロア | 5〜8年 | 畳と同様に計上 |
自分の物件や用途に合った床材を選ぶ際は、耐用年数や減価償却の取り扱いも比較して検討すると良いでしょう。
畳の張替え時にコストを抑えるポイント
畳の張替えは定期的に必要ですが、コストを抑える方法もいくつかあります。たとえば、まとめて複数枚の張替えを依頼することで単価を下げられる業者もあります。
また、表替えと新調を使い分けたり、耐久性の高い素材の畳を選んだりすることで、長期的なランニングコストも削減できます。見積もりを複数社から取り、価格やサービス内容を比較するのも効果的です。
減価償却スケジュールと資金計画の立て方
畳の減価償却を効果的に活用するには、計画的なスケジュールと資金管理が欠かせません。まず、畳の耐用年数をもとに交換やメンテナンスの時期を見積もり、将来的な費用を予算に組み込みます。
毎年の減価償却費や修繕費を予測できれば、突発的な出費を避け、資金繰りが安定します。資産台帳やメンテナンス記録を活用し、長期的な計画を立てていきましょう。
まとめ:畳の耐用年数と減価償却を理解して賢く資産管理をしよう
畳の耐用年数や減価償却の仕組みを知ることで、資産の管理や修繕計画、節税対策がぐっとしやすくなります。特に賃貸マンションや事業用物件では、適切な会計処理や原状回復のルールを理解することが大切です。
畳の種類や交換時期、減価償却の計算方法など、ポイントを押さえておけば、余計なトラブルや無駄な出費も防げます。資産を長持ちさせ、安心して管理・運用を行うために、今日からできることを始めてみてはいかがでしょうか。
\買う前にチェックしないと損!/
インテリア・寝具・収納の今だけ数量限定クーポンで快適な生活に!