登記識別情報をもらっていない場合の基礎知識

不動産の登記手続きでは「登記識別情報」が重要な役割を果たします。まずは、その基本的な知識を押さえておきましょう。
登記識別情報とは何か知っておきたいポイント
登記識別情報とは、不動産の登記名義人に対して発行される、いわゆる「権利証」と同等の役割を持つ12桁の英数字の情報です。これは、2005年以降の登記手続きから導入されました。紙の権利証と異なり、紙に印刷された通知書として渡されますが、実際はこの番号自体がとても大切な情報です。
この登記識別情報は、不動産を売却したり担保に入れたりする際に、所有者本人であることを証明するために使います。情報が漏れてしまうと、第三者に悪用されるリスクもあるため、厳重な管理が求められます。保管方法や誰と共有するかも慎重に考える必要があります。
登記識別情報を受け取っていない主な理由
登記識別情報を受け取っていないケースにはいくつか理由があります。よくあるのは、引き渡し時に書類の受け取り忘れや、司法書士などの専門家からの説明不足によって、通知書を受け取っていないパターンです。また、名義変更手続きの際に、その場で発行されると思い込んでいたなど、手続きの流れに対する誤解から受け取らずに終わってしまうこともあります。
このほか、相続や贈与など、複雑な手続きを経ている場合も、情報の受け取りが抜け落ちやすくなります。いずれにしても、「もらっていなかった」と気づいた時は、まず冷静に状況を整理し、どの時点で手元に渡っていないのかを確認することが重要です。
権利証と登記識別情報の違いについて理解しよう
従来の「権利証」は、登記済証とも呼ばれ、紙の証書として発行されていました。一方、登記識別情報は、12桁の番号が記載された通知書で、紙自体に証明力があるわけではなく、番号自体が重要な意味を持ちます。そのため、コピーや再発行は原則できません。
権利証と登記識別情報の違いを簡単にまとめると、以下のようになります。
項目 | 権利証(登記済証) | 登記識別情報 |
---|---|---|
発行方法 | 紙の証書 | 12桁英数字通知書 |
再発行 | 不可 | 不可 |
使い方 | 書類原本提出 | 番号確認 |
この違いを理解することで、今後の管理や手続きに備えやすくなります。
新築か中古+リノベかで迷っていたらぜひ読んでみよう!
何から始めたらいいかが分かる一冊です。
登記識別情報をもらっていないときのリスクと注意点

登記識別情報が手元にない場合、不動産の売却や各種手続きで不便が生じます。事前にリスクや注意点を知っておきましょう。
不動産売却時に必要となる登記識別情報の役割
不動産の売却時には、登記識別情報を使って所有者本人であることを証明します。これは買主や金融機関にとって、取引の安全性を確保する大切な確認作業です。もし登記識別情報がないと、売却の手続きがスムーズに進まず、追加の書類や手続きが必要になることがあります。
また、登記識別情報がなければ、売主側に本人確認のための別途手続き(本人確認情報の提供など)を求められる場合があります。これには司法書士の関与や追加費用がかかることもあるため、早めに状況を確認し、準備を進めておくことが重要です。
登記識別情報が無い場合のトラブル事例
登記識別情報が手元にないまま売却などの手続きを進めると、思わぬトラブルが発生することがあります。たとえば、書類が不十分なため取引が中断したり、買主から不信感を持たれたりすることがあります。
また、以下のようなケースも報告されています。
- 売却契約締結後、登記識別情報が無いことに気づき、取引が延期になった
- 司法書士による本人確認情報作成に余計な費用と時間がかかった
- 相続や贈与の際、手続きが長期化し受け取り側が困惑
このような事態を避けるためにも、早い段階で自分の登記識別情報の有無を確認することが大切です。
登記識別情報の紛失や未発行時にやってはいけないこと
登記識別情報が手元にない場合、慌てて誤った対応を取ると、かえって事態が悪化することがあります。たとえば、書類が見つからないからといって、適当な情報で手続きを進めようとすると、法的なトラブルになる可能性があります。
また、第三者に安易に情報の確認や相談を依頼することも控えましょう。登記識別情報は悪用されるリスクがあるため、信頼できる専門家に相談することが重要です。対応に困ったときは、まず司法書士や不動産会社に適切な対応策を尋ねてください。
登記識別情報がもらえていない場合の対処法

登記識別情報が手元にない場合も、落ち着いて対処すれば対応できます。取得方法や代替手段について知っておくことで、不安を軽減できます。
登記識別情報通知書の取得や確認方法
登記識別情報通知書は、原則として初回の登記申請時に法務局から発行されます。もし受け取っていない場合、まず手続きに関わった司法書士や不動産会社に連絡し、通知書がどこで保管されているのか確認しましょう。
次に、必要に応じて法務局に問い合わせを行い、登記完了時の書類交付状況を調べてもらうことも可能です。ただし、登記識別情報は原則再発行されません。受け取り忘れや紛失に気づいた段階で、なるべく早く行動することが重要です。
登記識別情報が再発行できない場合の対応策
登記識別情報は、原則一度しか発行されません。そのため、通知書を紛失してしまった場合は、再発行はできませんが、対応策があります。主な方法は、司法書士などの専門家が「本人確認情報」を作成し、法務局に提出することです。
この手続きには、顔写真付きの身分証明書や過去の登記簿謄本、住民票など、複数の書類が必要となる場合があります。費用や時間がかかることもありますが、正式な手続きですので安心して進めましょう。困ったときは、早めに司法書士や不動産会社に相談してください。
登記識別情報なしで登記手続きを進める方法
もし登記識別情報がない場合でも、手続きが全くできなくなるわけではありません。前述の本人確認情報制度を利用すれば、手続き自体は進めることができます。ただし、通常の手続きに比べて追加の書類や費用が発生することが多いです。
具体的には、以下のような流れとなります。
- 司法書士などの専門家に依頼し、本人確認書類を用意
- 司法書士が面談や証明書発行を行う
- 必要書類を揃えて登記申請を行う
この方法を利用することで、不動産の売却や名義変更を進めることができますので、万が一登記識別情報が見当たらない場合も慌てず、専門家に相談してみてください。
登記識別情報の管理と今後の対策

登記識別情報は一度しか発行されず、大切な不動産を守るための重要な情報です。適切な管理と将来のための予防策について知っておきましょう。
登記識別情報通知の適切な保管方法
登記識別情報通知書は、セキュリティ性の高い場所に保管する必要があります。おすすめの保管場所としては、耐火金庫や鍵付きの引き出しなどが挙げられます。また、家族と共有する場合は、どこに保管してあるかを最低限の範囲で伝えておくと安心です。
さらに、必要なとき以外は取り出さず、第三者に内容を見せたり、コピーを取ったりしないことも大切です。万一のために保管場所や管理方法をノートに記しておくと、紛失予防につながります。
万が一登記識別情報を紛失したときの防止策
登記識別情報の紛失を防ぐには、日頃からの意識づけが重要です。たとえば、以下の点に注意しましょう。
- 保管場所を定期的に確認する
- 家族と最低限の情報共有を行う
- 引越し時や大掃除の際、書類の整理を怠らない
また、書類を持ち出す必要がある場合は、必ず元の場所に戻す習慣をつけましょう。万が一紛失に気づいた場合は、直ちに司法書士や不動産会社に相談し、今後の対応を検討してください。
今後の不動産取引で困らないための備え方
未来の不動産取引に備えて、登記識別情報の扱い方を家族と共有し、定期的に保管状況を見直すことが大切です。また、不動産を相続する予定がある場合や、家族内で名義を変更する計画がある場合は、事前に書類の所在や手続き方法を話し合っておくと安心です。
加えて、万が一に備えて、信頼できる司法書士や不動産会社と連絡を取り、必要なときにすぐ相談できる体制を整えておくと、急なトラブルにも落ち着いて対応できます。
まとめ:登記識別情報をもらっていない場合の正しい対処と今後の安心のために
登記識別情報は不動産取引に欠かせない大切な情報です。受け取っていない、紛失した場合は、慌てず専門家に相談し、正しい手続きを踏むことが大切です。今後のトラブルを防ぐためにも、日頃から適切に管理し、家族と必要な情報を共有しておきましょう。将来の不動産取引に不安を残さないよう、早めの対応と備えを心掛けてください。
投資家100人の話で学べる!
不動産投資の初心者にもおすすめの一冊。
